相続・遺言

相続は,人が亡くなった時点で始まります。

相続・遺言に関してお困りの方は,ぜひお気軽にご相談ください。

>>故人にプラスの財産がある場合(遺産分割)について

>>故人に借金などがある場合(相続放棄)について

>>遺言書の作成について



 故人にプラスの財産がある場合(遺産分割)について

1.はじめに

 故人にプラスの財産がある場合,法律上その財産を引き継ぐ権利を持っている方たちの間で,その財産を分けることとなります。
 故人を「被相続人」,故人(被相続人)の財産を「遺産」,財産を引き継ぐ権利がある方を「相続人」,分ける手続のことを「遺産分割」といいます。
 遺産分割を行うに当たって確認する事項は以下の通りです。

 ① 被相続人が作った遺言書があるか否か。

 ② 相続人は誰か。

 ③ どのような遺産があるか。

 ④ 遺産をどのように分けるか。

 以下では,①~④について,具体的にご説明します。

2.被相続人の遺言書はあるか?

 遺言書とは,故人が,自分の死後の法律関係を定めるために作った文書をいいます。

 「自分の死後の法律関係」というのは,具体的には,遺産の分け方などをいいます。

 この遺言書があるとないとで,遺産分割の流れは大きく変わります。ですので,まずは,被相続人が生前,遺言書を作成していないか確認をしましょう。

3.相続人は誰か?

 遺言書がなかった場合,相続人が誰であるかを確認します。

 まず,被相続人の配偶者は常に相続人となります。

 次に,被相続人に子がいる場合は,その子も相続人となります。
 子がいない場合は,被相続人の直系尊属が相続人となります。直系尊属とは,父母や祖父母をいいます。
 直系尊属もいない場合は,兄弟姉妹が相続人となります。

 具体的には,被相続人の戸籍を,出生の戸籍までさかのぼることで,相続人を確定することができます。
 被相続人は,あなたの知らないところで結婚と離婚をしていたり,養子縁組をしていたり,ということもあり得ます。
 また,仮に,相続人となるべき方が,被相続人が亡くなる前に亡くなっていたり,一定の理由で相続権を失ったりした場合,「代襲相続」が発生します。

 このように,相続人の確定はややこしい問題をはらむこともありますので,ぜひ一度専門家に相談していただくことをおすすめします。

4.どのような遺産があるか?

 相続人が誰であるかが確認ができた後は,どのような遺産があるか確認をします。

 預貯金,不動産,投資信託など被相続人によって,遺産の種類は様々です。

 なお,受取人が指定されている保険金や,葬儀費用は遺産分割の対象にはなりません。

 どのような遺産があるか確認できた後は,その遺産がいくらなのかについても検討する必要があります。
 遺産の分け方とも関連してきますので,必ずしも検討する必要はありませんが,遺産の中に不動産がある場合は問題となることが多いです。

 遺産の範囲と評価が決まった後は,相続人の中に「特別受益」を有している人,「寄与分」を有している人がいないかについて検討することになります。

5.遺産をどのように分けるか?

 最後に遺産をどのように分けるか検討します。
 具体的には,主に以下の3つの方法があります。
 ① 遺産そのものを分ける「現物分割」。
 ② ひとりまたは複数の相続人が現物をもらい,その現物をもらった人が他の相続人に対してお金を支払う「代償分割」。
 ③ 遺産を売って,その代金を相続人の間で分ける「換価分割」。

6.相続人の間で話がまとまらない場合

 上記のどこかで,相続人同士の意見が食い違ってしまい,話がまとまらない場合は,家庭裁判所で遺産を分ける手続を行うことが考えられます。
 もっとも,家庭裁判所が,自動的に遺産を分けてくれるというわけではありません。
 まずは,「調停(ちょうてい)」という話し合いの手続を行うこととなります。
 資料を提出したり,法律に従って意見を述べたりして,裁判所が間に入って,妥協点を探っていきます。
 
 それでも意見がまとまらない場合は,「審判」という手続に移ります。
 これは,相続人から出された資料などをもとにして,裁判官が遺産の分け方を決める(審判する)手続です。



 故人に借金などがある場合(相続放棄)について

 故人が残した財産のうち,プラスの財産よりもマイナスの財産(借金など)の方が多い場合などは,相続を放棄する手続を行うことが考えられます。
 この相続放棄は,自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に,家庭裁判所へ決まった書類を提出しなければなりません。
 時間制限がありますので,お困りの方は早めにご相談いただくのがよいと思います。



 遺言書の作成について

1.遺言書を作成するメリット

 遺言書とは,故人が,自分の死後の法律関係を定めるために作った文書をいいます。
 「自分の死後の法律関係」というのは,具体的には,遺産の分け方などをいいます。

 遺言書がなければ,相続人たちが遺産をどのように分けるのか話し合って決めることとなります。
 しかし,この話し合いがスムーズに行われるとは限りません。
 残された家族たちが自分の遺産を巡ってトラブルになることを避けるために遺言書を作成することをおすすめいたします。

2.遺言書の種類

 遺言書は,作成方法の違いによって,以下の3つに分類されます。
 ① 自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)
 ② 公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)
 ③ 秘密証書遺言(ひみつしょうしょいごん)

 ③の秘密証書遺言はあまり利用されないことから説明を省略します。

3.自筆証書遺言について

 自筆証書遺言とは,遺言書の全文,日付及び氏名を自分で書き,押印して作成する方式の遺言をいいます。

 自筆証書遺言のメリットは以下の通りです。
 ・誰にも知られずに遺言書を作成することができる(内容のみならず存在も隠しておくことができます。)。
 ・作成費用があまりかからない。

 デメリットは以下の通りです。
 ・不備があり,内容が無効となってしまう危険性が大きい。
 ・遺言書が発見されない危険性,偽造,紛失,他人によって処分される危険性が大きい。
 ・家庭裁判所による検認手続が必要となる。
 ・視覚障害者にとって利用しづらい。
 ・遺言書作成時点において,遺言者が遺言書を作成できる判断能力があったか否かが,後々問題になってしまうことがある。

4.公正証書遺言について

 公正証書遺言とは,遺言者が遺言の内容を公証人に伝え,公証人がこれを筆記して公正証書による遺言書を作成する方式の遺言を言います。

 公正証書遺言のメリットは以下の通りです。
 ・専門家である公証人が関与して作成するため,方式不備をなくすことができる。
 ・遺言書は公証役場で保管されるため,偽造される危険が少ない。
 ・家庭裁判所での検認手続が不要。

 デメリットは以下の通りです。
 ・作成費用がかかる。
 ・遺言書の存在と内容を秘密にしておくことができない。

5.遺言書作成について

 弁護士は,ご依頼者様の希望に添った遺言書の内容を提案します。
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